コラム

2021.06.15

体脂肪率の増加が怖い理由

  

ダイエッターの誰もがおびえる体脂肪率の増加。

以前は体重の上がり下がりに一喜一憂していたものですが、最近は「意識すべきは体重ではなく体脂肪率」との考えが定着してきましたね。体脂肪率が増えると、むくみや冷え、腰痛・肩こり、慢性的な疲れをはじめとした、いやな症状を自覚するようになります。しかし、体脂肪率の増加が怖い理由はそれだけではありません。体脂肪が増えると生活習慣病につながるだけでなく、ますます太りやすく痩せにくいからだになることがわかっています。さらには、老化がすすんでしまう衝撃の事実まで。

体脂肪率が増加する怖さを知ることで、体脂肪率を増やさないダイエットマインドを強化していきましょう。



体脂肪率が増加する理由

体脂肪率が増加した理由は、当然ながらからだに脂肪がついたからですね。たいていは、見た目で太ったとわかりますが、実は体脂肪率の増加は、見た目だけではわからないことがあるのです。見た目や体重が変わっていない、もしくは体重は減っているのに、体脂肪率が増えていることがあります。体脂肪率の増加は、単なる食べすぎや運動不足だけが原因ではありませんでした。



筋肉率の減少

体重は減ったのに、体脂肪率が増えることがあります。なぜなのでしょうか。食事でたんぱく質の量が足りていないと、せっかく体重が減っても体脂肪率が増えます。それは、不足したカロリーを補うために、脂肪ではなく筋肉を分解してエネルギー源にしてしまい、その結果筋肉が減ることが理由です。からだの脂肪は落ちずに筋肉が減ると、体脂肪率は増加するのです。体重が減っていくとともに筋肉も減っていくと、代謝が落ち太りやすく痩せにくいからだになっていくばかりです。

 

からだの水分量の減少

からだの水分量の変化でも体脂肪率は増減します。水を飲んだり排泄したりで、からだの水分量が変わると、体脂肪率も変化するのです。体脂肪率は毎日同じ条件ではかることが望ましいでしょう。



体脂肪率が増加すると怖い12の理由

食事がカロリーオーバーになると、余ったカロリーは中性脂肪になり、脂肪細胞といううつわの中にたくわえられます。たくわえられる場所の違いで、脂肪は次の3つの種類にわけられます。

・皮下脂肪

・内臓脂肪

・異所性脂肪

この脂肪の種類の違いで、怖い理由も異なります。

皮下脂肪は見た目に大きな影響がありますが、いのちの危機に直接的にはつながりにくいです。内臓脂肪は生活習慣病のリスクが高まります。肝臓や心臓や骨格筋に付く異所性細胞は、臓器の障害につながります。内臓脂肪と異所性脂肪は、人を死に至らしめることになる、怖い脂肪なのです。



下半身が太くなる

脂肪細胞が皮下脂肪としてからだにためこまれると、はじめにお尻やふともも、腰回りにお肉がつきます。下半身は太りやすいわりには痩せにくく、セルライトも目立つなんともやっかいな部分ですね。体脂肪率の増加は、下半身デブ一直線です。



お腹がでてくる

脂肪細胞が皮下脂肪や内蔵脂肪としてからだにためこまれると、お腹につきやすくなります。お腹は骨で覆われていないため、脂肪細胞がふくらみやすい場所なのです。また、体の中でもっとも周囲系が長く、脂肪をためこみやすいことも、お腹に脂肪がつきやすい原因です。体脂肪率の増加でお腹ポッコリ。女性にとって永遠の大きな悩みですね。



生活習慣病や癌のリスクが高くなる

内臓脂肪が増えてくると、生活習慣病のリスクが高くなることは有名ですね。ほかには、癌やアルツハイマーも肥満が大きくかかわっていることがわかっています。

生活習慣病は自覚症状がない病気で、気づかぬうちにじわじわと進行し、ある日突然命の危機が襲ってきます。体脂肪率の増加が大きく関係している生活習慣病は、日本人の約3分の2が命を落とす、最も身近でおそろしい病気なのです。



臓器障害のリスクが高くなる

本来、脂肪がたまるはずのない肝臓や脾臓、心臓、骨格筋などについた脂肪を異所性脂肪とよびます。異所性脂肪が増えてくると、臓器のはたらきが悪くなり、しまいには臓器がとまって死にいたる原因になるのです。

皮下脂肪をたくわえるキャパが少ない人は、皮下でたくわえきれなかった脂肪が、内蔵脂肪や異所性脂肪として他の場所につくようになります。その結果体脂肪率が増加していると、例え見た目は太っていなくても、異所性細胞が増加している可能性もあるのです。



食欲を抑えるホルモンのはたらきが悪くなる

食欲を抑えるはたらきのあるレプチン。レプチンは脂肪細胞の中にあります。

脂肪が増えるとレプチンの量も増え食欲が抑えられますが、逆に増えすぎるとレプチンがうまく働かなくなることがわかっています。体脂肪率が増加すると、レプチンが増えすぎて食欲がとまらなくなることも。その結果、ますます太る悪循環になるのです。



脂肪燃焼ホルモンのはたらきが悪くなる

脂質の代謝を促すはたらきのあるアディポネクチン。アディポネクチンも脂肪細胞の中にあります。

アディポネクチンは痩せ酵素を活性化させ、運動をしなくても糖質や脂質の消費を助けてくれる痩せホルモンです。ただ、脂肪の量が増えれば増えるほどアディポネクチンの量は減ります。体脂肪率が増加することで、ますます脂肪が燃焼しにくいからだになるのです。



インスリンのはたらきが悪くなる

血糖が高くなるのを抑えてくれるインスリン。体脂肪が増えるとインスリンのはたらきが悪くなり、血糖値が下がりにくくなります。

血糖値が下がらなくなると体が危機をキャッチし、インスリン分泌の量をさらに増やします。インスリンは糖分を脂肪に変えてためこむ役割をするため、体脂肪率が増加すると、ますます脂肪をためこむからだになるのです。



老化が加速する

体脂肪率の増加でさまざまなホルモンのはたらきが悪くなると、糖質の代謝も悪くなり、糖化がおこりやすくなります。糖化とは、代謝されずに余った糖質がたんぱく質と結びつくことです。

その結果、老化の原因になる物質AGEsを生み出してしまいます。また、糖化は老化をすすめる遺伝子のスイッチをいれることもわかっています。血管や筋肉は衰えはもちろん、コラーゲンの老化でお肌は黄ぐすみやしわたるみのエイジングサインが。体脂肪率が増加することで老化が加速するとは、とてもおそろしいことですね。



免疫力が低下する

新型コロナウイルス感染拡大で、肥満者は標準体重の人よりも1.5倍ウイルスに感染しやすいことがわかりました。また、肥満者は重症化がすすみやすいことも広く知られるようになったのです。2016年東大の研究で、肥満になると感染を防ぐ機能が十分に働かないとわかっています。体脂肪率の増加、とくに内臓脂肪が増えすぎると、免疫力の低下をまねくのです。

 

アレルギーが悪化する

内臓脂肪は腸のすぐそばにつきます。腸内の悪玉菌から発生する有害な物質をおさえこむために、免疫細胞が攻撃をします。免疫細胞は異物を攻撃して、からだの中から消してくれる頼もしい細胞です。ですが、腸のそばの脂肪も異物だと勘違いし、さらに攻撃力を強めてしまい、免疫細胞の活動が活発になりすぎるのです。このような、免疫が過剰に働きからだを傷付けてしまう状態をアレルギーとよびます。

そのほか、脂肪と免疫は密接な関係があるとわかってきました。過剰な脂肪細胞は、アレルギーや自己免疫疾患、アトピー性皮膚炎や乾癬など皮膚トラブルの原因になるとされています。体脂肪率の増加がからだの炎症をおこし、アレルギーや皮膚炎につながるのです。



うつのリスクがあがる



体脂肪が増えすぎるとうつのリスクが高くなる研究結果を、2019年にデンマークのオーフス大学が発表しました。

体脂肪が10kg増えると、うつになるリスクが17%もあがる結果になったのです。なお、筋肉量や骨量などの体脂肪以外の体組成は一切関与しませんでした。つまり、体重の増加よりも体脂肪率の増加がうつのリスクを高めることになるのです。



やる気が低下する

やる気の低下する原因は主にふたつです。

ひとつは体脂肪率が増えて太ったことでからだが重くなり、活動・運動の意欲がさがるためです。消費カロリーが減り、ますます太るはめに。

ふたつめは、ボディイメージの変化で気分がふさぎがちになり、外出したり人に会ったりすることが億劫になることが理由です。ストレスを抱えることが増えてしまうでしょう。このように、体脂肪率増加はメンタルに悪影響をもたらします。

 

まとめ

体脂肪率の増加が怖い理由を6つにまとめると

・死亡率の高い病気につながる

・痩せホルモンのはたらきが悪くなる

・老化がすすむ

・免疫力が低下する

・アレルギーの悪化やうつのリスクが高まる

・メンタルに悪影響

になります。

体脂肪率が増加すると、ますます太りやすく痩せにくいからだになることがわかりました。また、老化や皮膚トラブルなど、美容によくない影響もでます。

さらに、病気の発症や体型の変化による服の買い替えなどの金銭的負担が増えることも否めません。

大きく体脂肪率が増加する前に、日々、美と健康のために、食事や運動、よい生活習慣を意識していきたいものですね。