コラム

2022.03.14

花粉の時期は肌荒れもするって本当?

春になると、くしゃみや鼻水といった一般的な花粉症の症状の他に、肌荒れが起こることがありますよね。鼻の症状と併発して起こるかゆみや赤み、乾燥などの肌トラブルは、実は花粉が原因かもしれません。

今回は、花粉が原因で引き起こされる肌荒れについて詳しく解説します。花粉症と肌荒れの関係や症状、予防法について学び、花粉による肌荒れを防ぐためにもしっかりと対策を講じていきましょう。

 

 

花粉症と肌荒れの関係

毎年花粉が飛散する時期になると、決まって肌荒れを起こすという方もいるでしょう。実は春に起こる肌荒れは、花粉が原因である場合も多いのです。

なぜ花粉が原因で肌荒れを起こすのかというと、アレルゲンである花粉が顔や首などの皮膚に付着するからです。無防備な皮膚に花粉が接触することによって、皮膚にかゆみや赤み、熱っぽさなどがあらわれます。

こうした花粉が原因で起こる肌荒れは、花粉皮膚炎と呼ばれています。花粉皮膚炎は、花粉の飛散時期にだけ症状があらわれ、それ以外の季節には症状が治まります。若年層の女性がよく発症する疾患です。

 

花粉で肌が荒れる原因はバリア機能の低下

私たちの皮膚のもっとも外側にある表皮には、角層と呼ばれる部分があります。角層では、しっとりとした肌を保つために必要な、うるおいを蓄えた角層細胞が並んでいます。その角層細胞の隙間は、細胞間脂質という物質によって埋められています。こうした角層のつくりによって、肌のうるおいを保ち、肌を守るバリア機能が働いています。

しかし、肌のバリア機能は乾燥が原因で機能が低下してしまうことがあります。乾燥によって角層から水分が奪われると、角層の構造に隙間が生じます。この隙間によって肌のバリア機能が低下し、花粉が侵入しやすくなってしまいます。花粉が肌に侵入すると、免疫システムが作用し、アレルギー反応が誘発されます。その結果、肌荒れの症状が引き起こされてしまうのです。

バリア機能の低下は摩擦によっても引き起こされる

肌のバリア機能は主に、乾燥によって低下してしまいます。また他にも、マスクやティッシュなどによる摩擦でも、バリア機能の低下が引き起こされます。

くしゃみや鼻水といった花粉症の基本的な症状が起きている場合は、頻繁にティッシュで鼻をかみますよね。その度、重なるティッシュの使用で肌が摩耗し、バリア機能が低下してしまうのです。また、ティッシュで鼻を擦り過ぎたことが原因で、乾燥肌になってしまうこともあります。

 

 

花粉による肌荒れの症状

アレルゲンである花粉が肌に付着すると、不快な肌荒れの症状が引き起こされてしまいます。

ひとくちに肌荒れといっても、その症状は多岐にわたります。以下に、花粉によって引き起こされる肌荒れの症状を詳しくリストアップしてみました。

  • 皮膚のかゆみ、赤み、熱っぽさ
  • 軽度のかぶれ
  • ぶつぶつなどの湿疹
  • 皮膚の盛り上がりを伴う湿疹
  • チリチリとした掻痒感
  • 白い粉吹き
  • 鼻・口周りのヒリヒリ感

花粉による肌荒れの症状は、主にかゆみや赤みです。症状の重さは人によって異なりますが、軽度のかぶれで済むこともあれば、蕁麻疹のように皮膚が厚く盛り上がるなど、重い症状があらわれる場合もあります。

また、ティッシュで頻繁に鼻をかむことで肌が摩擦され、くしゃみや鼻水が治まっても肌のヒリヒリ感が治らないというケースもあります。肌からうるおいが失われることで、皮膚が乾燥し、粉をふくこともあります。

花粉による湿疹やかゆみ、赤みといった症状は、顔や首回りによくあらわれます。顔や首周りは服で覆われないため、ダイレクトに花粉が付着してしまうことが原因です。

 

くしゃみや鼻水はなく肌荒れだけが起こることも

花粉症と聞くとくしゃみや鼻水といった症状が連想されますが、前述のリストのように肌荒れの症状も引き起こされます。中にはくしゃみや鼻水などの症状はなく、肌荒れだけが起こるというケースもあります。この場合は花粉が原因であると気が付きにくく、適切な対策が取りづらくなってしまいます。「花粉症シーズンだけど、くしゃみや鼻水はなく肌荒れだけを起こしている」という場合は、まず原因として花粉を疑ってみましょう。

 

 

花粉による肌荒れの予防法

花粉が原因で起こる肌荒れは、事前に対策を取ることで予防することができます。

花粉による肌荒れを防ぐには、肌を花粉から守ることと、肌のバリア機能を維持することが大切です。

この二点について、詳しく見ていきましょう。

 

肌を花粉から守る

花粉による肌荒れは、アレルゲンである花粉が皮膚に付着することで起こります。つまり、花粉が皮膚につかないよう対策することで、肌荒れを防ぐことができます。

花粉の付着を防ぐためにも、外出時はマスクとメガネを着用し、首元が隠れる服やつばの広い帽子を活用しましょう。できるだけ外気に触れる皮膚の面積を小さくすることがポイントです。毛足の長い服は、花粉やウイルスが付着しやすい傾向にあります。外出の際は、できるだけ花粉が付着しづらいスベスベ・ツルツルした素材の服を着るとよいでしょう。

帰宅後は素早く手洗いと洗顔を行い、花粉を洗い流します。可能なら、そのままシャワーを浴びてしまいましょう。

日焼け止めやメイクも活用

花粉から肌を守るためには、日焼け止めやファンデーションも有効です。

日焼け止めにもさまざまな種類があり、中には紫外線だけでなく、花粉などの微粒子の付着を阻止する優れたバリア機能を持つ商品もあります。

また、ファンデーションを塗ることも花粉の肌荒れ対策では重要です。ファンデーションは肌の質感を美しくするだけでなく、肌の保湿や保護といった役割も担ってくれます。

こうした日焼け止めやファンデーションを組み合わせて活用したうえでマスクを装着すると、より効果的な花粉対策が可能です。

 

肌のバリア機能を維持する

肌のバリア機能を維持するためには、乾燥を防ぎ、刺激を与えないことが大切です。

まずは正しいスキンケアを行い、肌のうるおいを保ちましょう。化粧水や乳液、クリームなどを用いて保湿をすることで、バリア機能の低下を防ぎます。

スキンケアを行う際は、皮膚に刺激を与えないよう注意しましょう。私たちの皮膚は非常にデリケートであるため、洗顔の際にゴシゴシと力を入れて肌を擦るだけで、簡単に角層が傷ついてしまいます。角層が傷つくとバリア機能が低下してしまうため、顔の皮膚に触れる際はできるだけ優しい手つきを意識してください。同じ理由で、たとえ肌にかゆみがあっても、力任せに掻いてしまうことは避けましょう。

洗顔やクレンジングは刺激の少ないものを

洗顔料やクレンジング料は、なるべく肌に負担をかけない、刺激の少ないものを選びましょう。洗顔料なら、「低刺激」や「敏感肌用」といった売り文句の商品を選ぶのがおすすめです。エタノールやメントールなどの成分が上位に配合されている商品は、刺激が強い傾向にあります。購入の際には成分表をチェックしてみましょう。

クレンジングもさまざまなタイプがありますが、中でもオイルやリキッド、バームタイプのものは洗浄力が強く、肌に大きな負担がかかります。肌のバリア機能低下を防ぐためにも、クレンジング料は刺激が少なく肌に優しいミルクタイプやクリームタイプのものを選びましょう。クレンジングを行う際は、クレンジング料を肌に丁寧になじませた後、優しくぬるま湯で流してください。