コラム

2021.06.11

紫外線より怖い⁉ ブルーライトからお肌を守るセルフケア

外出時に紫外線対策をする人は多いと思いますが、ブルーライトは気にしていますか? パソコンやスマートフォンの画面からも発生するブルーライト。太陽光にも豊富に含まれ、お肌にダメージを与えることが分かってきました。今回は日常生活で触れる機会が多いブルーライトからお肌を守る方法をご紹介します。



 

そもそもブルーライトって?

朝起きてから夜寝るまで、パソコンやスマートフォンの画面を見ない日はないでしょう。眠っている時以外、ほとんどずっと見ている人も多いのでは? そんな中、ブルーライトの体への影響が危惧されるようになってきました。

 ブルーライトとは、目に見える光の中で最も波長が短い380495nmの青色の光のこと。これより波長が短いものが紫外線で、「光老化」の原因だとされています。

 光老化は加齢による「自然老化」とは違うものですが、お肌にシミやシワが生じるのは同じ。特に、紫外線の中では波長が長い「UV-A」は、お肌の奥まで到達して、じわじわとダメージを与えます。

 ブルーライトの波長はUV-Aに近いため、お肌への影響は従来から懸念されていました。それが資生堂の研究によって、ついに確認されたのです。

 


 

ブルーライトが肌トラブルの原因に!

先述の研究報告によると、太陽光に含まれるブルーライトは、パソコンやスマホの液晶画面から発せられるものの数百倍も強いそう。紫外線を浴びると皮膚の細胞内に活性酸素が生じることは知られていましたが、太陽光程度のブルーライトでも同様の反応が起こることが分かりました。 

活性酸素は体の成分を酸化させる物質で、お肌だけでなく、全身の老化に関わっています。お肌では、メラニン色素を酸化してシミのもとを作るほか、ハリと潤いを保つコラーゲンやエラスチンを破壊します。 

さらにこの研究では、皮膚中の成分分析を行っており、ブルーライトを照射すると、肌トラブルの原因となる過酸化脂質が増えると発表しています。つまり、酸化した皮脂が肌に刺激を与え、ニキビなどの炎症を引き起こすわけです。  

 

寝る前にスマホを見るとお肌に悪い⁉

 パソコンやスマートフォンから発生するブルーライトが、直接お肌に与える影響がどの程度かは分かっていません。ただ一つ言えるのは、寝る前にブルーライトを浴びると、睡眠の質が低下するということ。睡眠不足はお肌の大敵ですね。 

就寝前の読書で、紙の本を読んだ場合とタブレットで電子書籍を読んだ場合では、後者のほうが寝入るまでの時間が長かったという報告があります。さらに、電子書籍を読んだ人ではメラトニンの分泌量が少なく、翌朝の目覚めが悪かったそうです。 

メラトニンは眠りを促すホルモンですが、夜にブルーライトを浴びると分泌量が減少し、体内時計が遅れていく原因になるとか。一方で、朝にブルーライトを浴びると体内時計がセットされ、睡眠と覚醒のリズムが整いやすくなります。 

というのも、メラトニンは日中の集中力を高めるセロトニンというホルモンが変化したもの。セロトニンは朝日を浴びることで分泌が増え、これが1416時間後にメラトニンに変わります。つまり、朝日を浴びると夜になってメラトニンが増えるため、よく眠れるようになるわけです。

 

 

今すぐやるべき!3つのブルーライト対策

 ブルーライトがお肌や睡眠に与える影響は、お分かりいただけましたね。ここからは、ブルーライトによるお肌のダメージを、最小限に抑える方法をご紹介します。

 

 【日焼け止め】SPFよりPAを重視して選ぶ

 太陽光にもブルーライトが含まれると述べましたが、紫外線に加えてブルーライトもカットしてくれる日焼け止めや化粧下地も市販されています。ブルーライトに対する効果がパッケージなどに記されていなくても、「PA」の「+」が多いものを選ぶと良いでしょう。 

ちなみに、日焼け止めの「PA」はUV-Aの防止効果の大きさを示す値。「PA+」は効果がある、「PA++」はかなり効果がある、「PA+++」は非常に効果がある、という意味です。これに対して「SPF」の数字は、UV-Bの防止効果が持続する時間を表しています。「SPF20」は400分(6時間40分)、「SPF30」は600分(10時間)です。 

ブルーライトはUV-Aに近い光なので、「SPF」の数字よりも「PA」の「+」が多いほうが効果的だと考えられます。なお、UV-Aは雲や窓ガラスも通り抜ける性質があります。曇っている日や、室内でも日当たりの良い場所では対策が必要ですね。 


 

 

【パソコン&スマホ】メガネやフィルムを活用する

 パソコンやスマホを長時間見ている人は、ブルーライトを軽減するメガネや液晶フィルムがおすすめです。ブルーライトによる疲れ目やドライアイを予防するアイテムとして人気ですが、夜のブルーライトをカットすることで、睡眠の質を改善する効果も期待できます。 

メガネやフィルムをお持ちでない方は、ひとまずディスプレイの輝度を下げてから、この記事を読んでくださいね。また、周囲の明るさや時間帯に合わせて、ブルーライト削減率を自動で調節してくれるアプリやソフトもあるので、試してみてはいかがでしょうか。 


 

 

【インナーケア】抗酸化作用のある成分を摂る

 紫外線やブルーライトを浴びると体内の活性酸素が増え、全身の老化を促進します。これを防ぐには、体の内側からケアすることも大切です。食べ物に含まれるビタミンACEは、活性酸素の作用を阻止する働きがあり、「抗酸化ビタミン」と呼ばれています。 

ビタミンAは別名を「レチノール」といい、年齢肌向けの化粧品にも配合されている成分です。皮膚や粘膜を健やかに保つ働きがあり、動物性の食品に多く含まれます。また、緑黄色野菜に含まれるβ-カロテンの一部は、必要に応じて体内でビタミンAに変換されます。β-カロテンにも強力な抗酸化作用があるので、色の濃い野菜を毎日たっぷり食べましょう。

 ビタミンCは美容のために意識して摂っている人も多いでしょう。野菜・果物・芋類に多く含まれますが、熱に弱いので思っているほど摂れていないかもしれません。野菜や果物はできるだけ生で食べるか、レンジで短時間加熱するのがおすすめです。 

ビタミンEは植物性の油やアボカド、ごま、ナッツ類に豊富な栄養素。脂質の酸化を防ぐ働きがあり、ビタミンCと一緒に摂ると効果がアップします。 

その他、トマトのリコピン、ごまのセサミン、赤ワインやブルーベリーのアントシアニン(紫の色素)、緑茶のカテキン、玉ねぎのルチンなどにも抗酸化作用があります。こうした食材を積極的に摂り、ブルーライトに強い体を作りましょう。

 

  

まとめ

 紫外線と同様に、お肌の老化を加速させるブルーライト。日焼け止めはPAを重視して選び、外出時はもちろん、室内でも日差しがあればケアしましょう。 

また、睡眠のリズムを狂わせる夜のブルーライトには特に注意が必要です。寝る前はスマホやパソコンをいじらないことが基本ですが、やめられない人はブルーライト対応のフィルムを貼る、ディスプレイの明るさを調整するなどの対策を。

 最後は、毎日の食事で抗酸化ビタミンACEをしっかり摂ること。お肌だけでなく、全身を若々しく保つためにも、日頃からインナーケアを心がけましょう。