コラム

2021.07.19

そのむくみ、クーラー病かも?自分でできる予防と対策

「夏になると足がむくむ」あるいは「夏はむくみがひどくなる」という方も多いのでは?水分の摂り過ぎが原因だと思っていたら大間違い。本当の原因は、クーラー病かもしれません。クーラー病はむくみだけでなく、頭痛、肩こり、便秘、下痢、肌荒れなどを引き起こすため、しっかりとした予防&対策が必要です。

 

 

クーラー病とは?

クーラー病は冷房病とも言いますが、どちらも正式な医学用語ではありません。冷房の効き過ぎによって体が冷えることで起こる、様々な症状の総称です。夏に体調を崩しやすい人は、その症状の背景にクーラー病が潜んでいるかもしれません。

 

クーラー病の症状

クーラー病には、次のような症状があります。

  • 手足の冷え・むくみ
  • 頭痛・めまい
  • 肩こり・腰痛・関節痛
  • 風邪に似た症状(鼻水、のどの痛みなど)
  • 倦怠感・だるさ
  • 腹痛・便秘・下痢・食欲不振などの胃腸症状
  • 月経不順や生理痛などの婦人科系の症状

他にも、肌のトラブルや不眠、免疫力の低下など、全身に不調が現れます。

 

クーラー病の原因

クーラー病は体の冷えからくるものですが、寒いと感じていなくても上記のような症状が現れることがあります。クーラー病の本当の原因は、自律神経の乱れにあるからです。

自律神経とは、体を活動的な状態にする交感神経と、体をリラックスさせる副交感神経の2つを指します。これらがバランスを取りながら、血圧や体温、内臓の働き、ホルモン分泌などを調整しています。
この2つのバランスが崩れると全身に影響が及ぶわけですが、自律神経はかなりデリケート。不規則な生活や環境の変化、ストレス、加齢などでバランスを崩してしまうのです。

特に夏はクーラーを使うことで室外との温度差が大きくなります。この変化に対応するため、血管を収縮させたり、拡張させたりして体温を調節していますが、冷房が効いた室内と蒸し暑い室外を何度も行き来するうちに、自律神経がパニックを起こしてしまうのです。
これがクーラー病の原因。
状況に合わせて血管を上手くコントロールできなくなるため、体に熱がこもったり、手足が冷えたりしてしまいます。

 

 

クーラーとむくみの怖い関係

クーラー病では全身に様々な不調が起こりますが、むくみもその一つ。
そもそも「むくみ」とは、皮膚の下に過剰な水分がたまった状態のこと。そう言われると、水分を摂り過ぎたせいだと考えがちですが、むくみの原因の多くは血行不良です。

クーラーで体が冷えたり、自律神経が乱れたりすると、血行が悪くなり、むくみが生じてしまいます。では、どうして血行が悪くなると、むくみが生じるのでしょうか?

簡単に言えば、血液が足のほうにたまると血管から水分がにじみ出し、皮膚の下にたまるからです。
血液は心臓から押し出されて全身を巡り、また心臓に戻ってきますが、血液も重力の影響を受けるため、足のほうに流れようとします。これを押し上げてくれるのが、ふくらはぎの筋肉です。

ふくらはぎの筋肉が収縮することでポンプのような役割を果たしますが、じっとしていると機能しません。すると徐々に血液が足のほうにたまり、血液循環が悪化。熱は血流にのって運ばれるため、冷えを感じると同時に、足の血管からじわじわと水分がにじみ出て、むくみが生じるというわけです。

デスクワークの人が夕方になると足がむくみやすいのは、こうした体のメカニズムが関係しています。

 

 

むくみを防ぐには?自分で対策できる?

クーラー病は自律神経の乱れが関係していますので、根本的に改善するには、自律神経を整える必要があります。また、足のむくみが気になる人は、ふくらはぎの筋力アップが効果的です。
一方、速効性があるのは、体を温めて血行を良くすること。いずれも自分で予防&対策できますので、以下の方法を試してみてください。

 

温冷交代浴

体を温めるためにも毎日の入浴は重要ですが、お湯と冷水に交互に浸かると自律神経が整いやすいとされています。自宅で行う場合は、湯船に40℃のお湯をはり、冷水はシャワーを使います。シャワーは30℃以下であれば冷水でなくてもOKです。

40℃のお湯に3分間、肩まで浸かった後、湯船から出て手足に30℃のシャワーを30秒かけます。これを3回繰り返し、最後はお湯にさっと浸かって体を温めてから上がります。

長湯が苦手な人も、これならできそうですね。

 

リズム運動

体を動かすと血行が良くなり、ストレスも和らぎます。ストレスは自律神経を乱す要因なので、運動も無理せず、気持ち良いと感じることが大切です。

特に一定のリズムで行う運動を5分くらい続けると、幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」の分泌が増加すると言われ、自律神経を整える作用が期待できます。ただし、30分以上続けると効果が薄れてしまうので、やり過ぎないことがポイント。

もも上げ運動、踏み台昇降、縄跳びなど、足を動かすリズム運動なら、ふくらはぎの筋力アップにもつながります。

 

規則正しい生活

不規則な生活も自律神経を乱す要因です。毎朝同じ時間に起きて、食事もなるべく同じ時間に摂るようにしましょう。食事の時間を決めると生活のリズムが整います。

また、朝日を浴びることも重要です。というのも、体内時計はきっちり24時間ではないため、毎朝リセットしないと外界の時間と生体リズムのずれが大きくなってしまいます。生活のリズムが生体のリズムに合っていないと、ストレスを感じやすくなります。

 

服装の工夫

冷えが気になる人は、首、おなか、足首の3カ所を温めると効果的です。冷えを感じていなくても、肌の露出や体を締め付ける服装は血行を悪くし、むくみの原因になるので避けましょう。スタイルを良く見せるためのガードルやハイヒールは特別な日だけにして、普段はやさしくフィットするインナーや腹巻を着け、カジュアルな靴に靴下をコーディネートしてみては。足のむくみ対策には、着圧ソックスもおすすめです。

 

ふくらはぎのマッサージ

ふくらはぎの筋肉をほぐすと、血行がずいぶん改善されます。揉んだり、さすったりするだけでも良いですが、以下のように手で押しながら足を動かすと、マッサージ効果がアップします。

  1. 椅子に座って両手の親指を片方の膝頭に、残りの4本指を膝裏(太もも側)の中央に食い込ませるイメージでとらえ、床にかかとをつけた状態でつま先を10回上げ下げします。
  2. 右手で右足の足首のすね側をとらえ、膝に向かってこすり上げ、指が引っかかるところで止め、かかとが床についた状態でつま先を10回上げ下げします。左足は左手で同様に行います。
  3. 両手の親指を片方のすねに、残りの4本の指でふくらはぎの中央をしっかりとらえ、かかとを床につけたまま、つま先を20回上げ下げします。

 

食生活のポイント

食事は13食、バランス良く摂るのが基本ですが、塩分と糖分は体に水をため込む作用があるため、摂り過ぎるとむくみに直結します。野菜や果物、きのこ類に多く含まれるカリウムは、塩分の排出をサポートしてくれるのでたっぷり摂りましょう。

また、冷たいスイーツやドリンクは要注意。体を冷やすだけでなく、冷たいと甘さを感じにくいため、糖分の摂り過ぎにつながります。

夏の水分補給は、常温の水がベスト。むくみケアには、11.52リットルを目安に飲むと良いとされています。

 

 

まとめ

夏を快適に過ごすにはクーラーが欠かせませんが、室内と室外の温度差が大きくなると、自律神経の乱れにつながります。それによって引き起こされる様々な症状をクーラー病と呼び、むくみもその一つです。

むくみの直接の原因は、ふくらはぎの筋力低下による血行不良。血流は自律神経とも関わっていますので、むくみを防ぐにはこれらを改善する必要があります。

規則正しい生活やバランスの良い食事に加え、温冷交代浴、リズム運動、ふくらはぎのマッサージなどをとり入れ、むくみにくい体質を手に入れましょう。