コラム

2021.06.08

たんぱく質はいつ摂るのが正解? スタイル維持に効果的なたんぱく質の摂り方

いくつになっても若々しい体形をキープしたいと思いませんか? そのために欠かせないのが筋肉です。筋肉は90%がたんぱく質からできているため、スタイル維持にはたんぱく質を十分に摂る必要があります。また、たんぱく質は量だけでなく、摂取するタイミングも重要。この記事では、筋肉づくりやダイエットに役立つ、より効果的なたんぱく質の摂り方をご紹介します。

たんぱく質は3食均等に摂るのが基本

朝はコーヒーとパンだけ、あるいは野菜ジュースや果物、乳製品だけ、という人も多いのではないでしょうか。さらに、お昼は麺類などの一品料理や、コンビニで手軽に済ませる人では、1日に必要なたんぱく質の大半を、夕食で摂っていると考えられます。

 一般的に、肉や魚などのたんぱく質食品は夕食で多く摂る傾向がありますが、同じ量のたんぱく質を摂る場合、朝・昼・夕食で1/3ずつ均等に摂るほうが、筋肉の合成が高まる1ことが近年の研究で明らかになってきました。

 とはいえ、忙しい朝にたんぱく質をしっかり摂るのは難しいと思うかもしれませんね。まずは、朝にたんぱく質を摂ると、どんな良い効果があるかを考えてみましょう。

  

朝食のたんぱく質が筋肉にとって重要な理由

小学生の頃、ごはんは脳の栄養だと教わりましたね。朝ごはんが大切なのは、寝ている間に脳のエネルギー源である糖質が枯渇するからですが、そうなると体は筋肉のたんぱく質を分解して、糖に変えようとします。

 なんと、たんぱく質は体の中で糖に変わるのです!

もっと言えば、たんぱく質は脂肪にもなります。たんぱく質も糖質と同様、1gあたり4kcalのエネルギーがあるため、一度にたくさん食べてカロリーオーバーになれば、糖質もたんぱく質も、エネルギー貯蔵形態である脂肪に変換されてしまいます。

 にもかかわらず、エネルギーが足りなくなると筋肉が分解されるなんて、理不尽な話ですよね。でも、筋肉は存在するだけで多くのエネルギーを消費しますから、飢餓状態では邪魔にしかなりません。しかも、脳は糖の他にも脂肪から作られるケトン体をエネルギーにできますが、赤血球のエネルギー源はブドウ糖だけ。脂肪から糖は作れないので、生きていくためには、たんぱく質からブドウ糖を作るしかないのです。

 つまり、たんぱく質も摂りすぎると太りますが、糖質が不足すると筋肉が落ちてしまいます。糖質は10時間分くらいしか体内に貯めることができないので、朝食でごはんやパンなどの糖質を補いながら、筋肉のもとになるたんぱく質をしっかり摂ることが重要です。 

 


朝のたんぱく質が夜の睡眠に影響する!?

朝食でたんぱく質を摂ると良い理由は他にもあります。

たんぱく質は20種類のアミノ酸が50~数万個つながった物質ですが、そのアミノ酸の一つであるトリプトファンから、セロトニンというホルモンが作られます。

セロトニンは気持ちを安定させ、頭をすっきりさせる「幸せホルモン」。これが夜になると、今度は睡眠を促すメラトニンというホルモンに変わるのです。

 

よく眠れると肌の調子も良くなりますね。さらに、たんぱく質は炭水化物や脂質に比べて、多くの熱を発生します。食事をした後は体が温まりますが、たんぱく質はその効果が大きいのです。体温が上がると脳が覚醒するため、朝がつらい人こそ、朝食でたんぱく質を摂ると良いでしょう。


寝る前のたんぱく質はカロリーオーバーに要注意!
 

本格的なトレーニングをしている人では、寝る前にもプロテインを摂っているかもしれません。寝る前にプロテインを摂ると、成長ホルモンの働きを高めることが期待できるからです。

寝る子は育つと言われますが、成長ホルモンはたんぱく質の合成を促す働きがあり、睡眠中に分泌が増加します。大人では傷ついた筋肉を修復し、肌や髪の新陳代謝を促進してくれる、ありがたい存在。そんな成長ホルモンが増える時に、材料となるたんぱく質が不足しないよう、就寝前に補おうというわけです。 

けれども残念なことに、成長ホルモンの分泌量は思春期をピークにどんどん減少。4050代ではピーク時の半分以下になると言われます。成長ホルモンには脂質の代謝を促す働きもあるため、中年を過ぎて成長ホルモンが減ると太りやすくなるのです。

また、先ほど述べた通り、たんぱく質にはカロリーがあります。たんぱく質を多く含む食品には脂肪も含まれるため、カロリーオーバーには気をつけなければいけません。睡眠中はエネルギー消費が減るので、もし寝る前にたんぱく質を補うのであれば、プロテインパウダーなどのサプリメントを活用しましょう。

   

運動後30分が筋肉合成のゴールデンタイム

 

睡眠中に分泌が増える成長ホルモンですが、運動後も増えることが分かっています。運動によって傷ついた筋肉を、急いで修復しようとするためでしょう。特に運動後30分は筋肉合成のゴールデンタイム2)。この時に十分なたんぱく質を摂ると、効率的に筋肉がアップすると考えられます。

さて、筋肉の分解と合成について少し補足しておきましょう。

筋肉の90%はたんぱく質ですが、食品やサプリメントに含まれるたんぱく質が、そのまま筋肉の一部になるわけではありません。また、体は昨日と今日でほぼ同じに見えますが、たんぱく質は常に合成と分解を繰り返しており、筋肉も毎日少しずつ入れ替わっています。だから、一定量のたんぱく質を毎日摂る必要があるわけですが、口から摂ったたんぱく質は、胃や腸で消化(分解)され、アミノ酸として吸収されます。 

たんぱく質はアミノ酸がたくさんつながった物質だと述べましたね。吸収されたアミノ酸は血流にのって全身に運ばれ、必要なたんぱく質を作るための材料になります。肌の弾力を支えるコラーゲンやエラスチン、髪のケラチン、骨や血液、ホルモン、抗体なども主成分はたんぱく質。これらはすべて、たんぱく質の分解産物である、アミノ酸から作られているのです。

  

動物性と植物性のたんぱく質を一緒に摂ると効果的

最近の研究3で、肉・魚・卵などの動物性たんぱく質と、大豆などの植物性たんぱく質を一緒に摂ることが、筋肉維持に効果的だと分かってきました。というのも、たんぱく質は20種類のアミノ酸で構成されており、たんぱく質によって含まれるアミノ酸の種類と量が違います。

例えば、乳製品に含まれる「ホエイ」というたんぱく質は、筋肉合成を促す「ロイシン」というアミノ酸が豊富。一方、大豆のたんぱく質には、抗酸化作用のあるアミノ酸が多く含まれ、筋肉減少の要因となる酸化ストレスから守ってくれます。さらに、大豆たんぱく質が消化されてできる大豆ペプチドにも、たんぱく質分解酵素の作用を抑制する働きがあります。

つまり、動物性と植物性のたんぱく質は、異なるメカニズムで筋肉維持に働くわけです。また、乳たんぱく質は消化吸収が早く、大豆たんぱく質は遅いため、一緒に摂ることで血中のアミノ酸濃度を長時間保てます。たんぱく質は常に分解と合成を繰り返していますから、必要な時に必要なアミノ酸が、血中に存在することが大切なのです。

 

まとめ

ここまで、たんぱく質の効果的な摂り方を中心に述べてきました。では、具体的にどのくらいのたんぱく質を摂れば良いか。摂るタイミングも重要ですが、そもそも量が不足していたら、しなやかな筋肉を維持できませんね。 

たんぱく質は体重1kgにつき1~1.5g必要だとされています。目安としては、植物性と動物性のたんぱく質食品を組み合わせ、毎食100g食べること。納豆1パックと卵1個でだいたい100gです。鮭の切り身1切れと豆腐の味噌汁でも良いですね。これで20g前後のたんぱく質が摂れます。

また、糖質が不足すると筋肉の分解が進み、筋肉が減ると基礎代謝が落ちてしまいます。若々しく引き締まった体をキープするために、たんぱく質だけでなく、糖質も過不足なく摂りましょう。